『じゃあちょっと、飯行くべ!』



なんでやねん…。20時から客と飯だっつーの。



まぁいいか。軽く食べるだけなら。



速攻普段着に着替えた【こう】は、あたしの手を引っ張って、すぐに外に出た。



「どこ行くーん?」



この辺は田舎だから、昔ながらの定食屋とか、ちょっとしたチェーン店のうどん屋、居酒屋があるくらい。



『飲み行こうぜ!』



………は?
今から仕事なこと、伝えてあるよね?


仕方なく、ついて行った場所は普通に大型チェーンの居酒屋。



元気のいいお姉ちゃんと、お兄ちゃんがいて、より一層、今日が仕事じゃなかったら良かったのに。と思わせる。


席に通されると、決まってこうは1杯目ビールを先に頼む。しかも2個。



まぁ、あたしはビールしか飲めないからいいんだけどさ。


『おっ!キタキター!仕事終わりのビール最高よなぁ!』


分かる。分かるよ。けど、こちとら今からなんだよ…


「確かに美味しいよね!!汗かいた仕事したあとのビールとかまじ最高じゃん?!」


合わせることしか出来なかった。
あたしはまともな昼の仕事なんか、あんまりしたこと無かった。


『さっすが彩珠深!分かってるうう!』




ごめん。本当は分かんないよ。


いつも酒飲んで、飲んで飲んで、飲まれて、帰宅するだけなんだから。
客が、そうだって言ってたから、だから言っただけだよ…。