貴方がくれたもの

皆最後の一口を飲み終わる頃、そろそろ出るかとこうが口を開く。



『えー、もうそんな時間〜?ヤダ行きたくない〜。』


と、咲希がプリプリしている。


身長もちっちゃければやる事も可愛いんだよなこいつは。


『いーよー、休んじゃいなよ〜♡』


………バカップルめ。


『彩珠深も休もーよー!みんなと飲んでる方が楽しくなーい?』


…巻き込むな。


「あたしは行くよ。少しでも稼ぎたいし。
やりたい事もあるし。」


それだけ言うと、あたしは席を立った。


「まだ飲んでるんでしょ。あたしは仕事行くから。
あんま飲みすぎんなよ?」


はーい。と後ろから元気な3人の声。


ガチで休むのかあいつは。

知ったこっちゃないから別にいいか。


あたしの分の金だけ、あらかた頭の中で計算していたお陰で
時間をかけることなくテーブルに金を置くことが出来た。


じゃ、あとは楽しんで。と店を後にする。



最近あたしは、チャットアプリを始めた。


理由は単純。タトゥーを彫りたかった。


こういう場所で客を探してる人もいるから、だから始めた。


まぁ、連絡来てもそういう人からじゃなきゃ返事もしてないけど。


なんの気なーしに電車に乗りながら、チャットアプリを開く。


1件のメッセージに目が止まった。




『タトゥーに興味ありませんか?』


寄りかかって座っていたのに、勢いよく体を起こす。