貴方がくれたもの

『あ!幸輝(こうき)おかえり〜!
あれ?聖也は?』



服を着て、リビングに戻る。


『居るって聞いてねーからいねーよ!』


なーんだ…と化粧をしながらしょぼくれる。


言っときゃ良かったな。


『ま、家に咲希居なけりゃ嫌でも俺のところに連絡来るだろ』



そっかー!と、途端に笑顔になる。

こいつみたいに分かりやすいくらい、好き好き〜!

って出来るような性格になりたかったよ。切実に。



『彩珠深〜♪ただいま〜♪』


「はいはい、おかえり。準備するからちょっと待って」


それだけ言うと、咲希の隣であたしも化粧を始めた。


後ろでこうは、いつもの如く、本当にお前の顔は芸術品だよな。

なんて、アホ抜かしてくる。


まぁ、それだけ明るいところで見たら濃いらしい。


暗いところで盛れる化粧だから致し方ない。


「うるせえよ。」


吐き捨てたあと、服を選ぶ。

今日は新しいドレス届いたからそれにしよ。


あたしは、左腕に沢山の傷がある。

若気の至り…ってやつだ。

何回も何回も死にたくて切った傷。

いつもは1枚上に羽織る形でドレスを着る。

けどこれは、その左腕だけを隠してくれるような、

俗に言う、【花魁風】のドレスだった。

可愛い、と一目惚れしたやつ。

…普通に高かったんだけど。


『え、何そのドレス!可愛い〜!!!』


「でしょ、一目惚れ。ミニなのに後ろレースとか最高」


『風あるとヒラヒラしそう〜♪』


…風あればヒラヒラするだろ。


なんて馬鹿話をしている間に、あたしらは準備が終わった。


いつの間にか聖也も来ていて、みんなでご飯に行くことになった。


「そいや咲希何時からなん?」


『今日は21時30分から〜♪』


今は19時45分。まぁ、時間あんのか。


幸いあたしも同じ時間だった。


それを聞いたこうは、よし!と声を上げ

いつもの大型チェーン店の居酒屋に向かった。


うちら今から仕事なのに〜と咲希。

仕事終わりには飲むのが1番!!と聖也。

なんでもいいから、腹に入れば変わらん、とあたし。

みんなで飲むとか久しぶりじゃね!?とこう。


それぞれにブツブツ何かを言いながら目的地へ向かった。