囚われの小説家と使用人〜私の王子〜

「俺は彼女を部屋に案内するから、荷物を全部片付けておいてくれ」

「はい……」

エプロンをつけて私たちを出迎えてくれた葵さんは、私を見つめてどこか苦しげな表情をしている。どうしてそんな顔をしているんですか?

私が訊ねようとした刹那、グイッと真斗さんに肩を抱き寄せられる。

「わっ!」

「部屋に案内するから早く来て」

そう言った真斗さんの目は一瞬暗く、ゾッとしてしまう。

「は、はい……」

真斗さんに肩を抱かれたまま、私はお屋敷の中に連れて行かれる。お屋敷の中は骨董品やアンティーク調の家具がたくさん置かれていた。

「ここが君の部屋」

「素敵です!ありがとうございます」

案内された部屋には最新型のパソコンもあるから、たくさんお話が書けそうだ。私が部屋の家具などに見とれていると、ガチャンと音がした。

「えっ?真斗さん?」

私が振り向けば、いつの間にか真斗さんは部屋から出ていた。そして部屋のドアは閉じられている。私は嫌な予感がしてドアノブに触れた。何度ドアノブを回してもドアが開かない。