囚われの小説家と使用人〜私の王子〜

それから、何度か真斗さんと会って話をした。真斗さんからは小説を書くコツなども教えてもらって、とても嬉しい。付き人として一緒に来る葵さんは何故か複雑そうな顔だけど。

そして、高校最後の夏が始まる直前に真斗さんから言われたんだ。

「夏休み、よかったらうちの別荘にこない?木々に囲まれてるからいいリフレッシュになると思うよ。執筆も捗るかも」

「本当ですか!?ぜひ、お邪魔したいです!」

こうして、夏休み中は真斗さんの別荘にお邪魔することになった。高校三年生だけど、もう働いているから進路の心配はないしね。

お父さんも真斗さんのファンだったから、別荘に行くのを許可してくれた。たくさん学んでおいでって行って見送ってくれた。

そして夏休みの初日、真斗さんの運転する車に揺られ、私は木々に囲まれた洋風のお屋敷に向かったんだ。

「わあ!素敵……!」

お屋敷を見て目を輝かせる私に、真斗さんが「気に入ってくれてよかった。部屋に案内するね」と言い葵さんを呼んだ。