囚われの小説家と使用人〜私の王子〜

今日は担当さんと打ち合わせの日だ。場所はおいしい和菓子で有名なお店。着物でカフェに行くのもいいけど、やっぱり着物を着ると和菓子を食べたくなる。

「森田(もりた)さん、今日はよろしくお願いします」

私が担当の森田さんに挨拶をすると、その隣には見覚えのない顔があった。メガネをかけていて、背は男性しては低め。でもどこか少年のような爽やかな雰囲気の人だ。

「えっと、初めまして。森田さんのお友達ですか?」

私がそう言うと、「い、いえ!違います!」と返ってくる。緊張しているのか男性の声は上ずっていた。でも明らかに私の方が歳下だ。

「颯空先生、実は先生と共作をしたいという話が上がっていてね。それが今女性に大人気の恋愛作家である三雲先生なんだよ」

真斗さんの作品は何度も読んだことがあるし、サイン会もチラリと見たことがある。明るい髪をした長身のイケメンで、多くの女性を甘い言葉で虜にする。そして、そんな彼が書く作品もとても甘くて刺激的で、ドラマ化されるという話もあるって……。そんなすごい人と共作?私が?