囚われの小説家と使用人〜私の王子〜

「んっ……」

互いの吐息がしばらく響き、唇がゆっくりと離れる。互いの顔が赤く染まっていた。

「逃げよう。今から」

葵さんに手を掴まれ、私は驚く。そんなことを言われるとは思わなかった。

「葵さん、逃げてもいいんですか?私が逃げたら葵さんが……」

私がそう言うと、葵さんは真剣な目を私に向けてくれた。そして手に力が入っていく。

「……もう、あなたが悲しむ姿を見たくない」

そう言い、葵さんは私を連れて部屋を出て行く。部屋の外に出るのは何日振りだろう。空気が部屋の中とは違って新鮮だ。

「あなたのことは必ず僕が守る!もうこれ以上、あなたの悲しむ顔を見たくない。あなたの笑顔を見たい」

そう力強く笑い、葵さんは私の手を引く。本当に自由になれるんだと思うと、私の目に涙が浮かんだ。

「あの、真斗さんは?」

もしも見つかってしまったら……。そう不安になる私に葵さんは微笑む。

「大丈夫!真斗さんは出かけてくると言っていたから」