囚われの小説家と使用人〜私の王子〜

何故か葵さんとしたキスは全然嫌じゃなくて、不思議な気持ちになっていく。この気持ちは一体何なんだろう?

その日の夜は、久しぶりに胸が温かかった。



その日から、葵さんはよく私の部屋に来てくれるようになった。真斗さんに無理やり触れられたところに優しく触れて、何度もキスをしてくれる。それが嬉しいんだ。

「もう二週間で夏休みが終わっちゃう……」

カレンダーを見て私は呟く。学校が始まってもここに閉じ込められ続けるのかな?でもそんなことをしたら真斗さんが監禁していることがバレてしまう。どうなるんだろう……。

口封じに殺される?そんなことを想像すると、さらに体が震える。でも真斗さんならやりかねないような気がして、心が騒ついた。

「颯空ちゃん……」

ガチャリとドアが開き、葵さんが現れる。その顔を見ると安心するんだ。

「葵さん、来てくれてありがとうございます」

私が微笑むと葵さんにふわりと抱き締められる。その刹那、二人の唇が重なった。