久しぶりに出た外。

太陽がじりじりと、ブラウスの上から肌を刺す。

無言で登校までの道のりを歩き、無言で教室に入る。

おはようをいう相手もいないままに、授業の準備をして本を出す。

殺人的な暑さは、冷房すらついている教室までもを浸食しようとしていた。

終わってしまった夏休み。

楽しくはなかったけれど、授業がないのは良かった。

大量の教科書とノート、宿題をなんとか裁いて、授業の支度をすると本の中に入り込んだ。

その世界の中では、私は何でもできて、前向きな「普通」の人間だ。

無意識のうちに指を引っ掛けていた、太腿のあたりにある鱗。

それを剥がそうとすると、痛みが走る。

「……っ!」

ビリリとした痛み。

慌てて指を離した。

その動作をいつもやっているにも関わらず、この痛みにも慣れないし、かと言って辞められもしない。

ほぼ無意識のうちに繰り返しては、痛みを感じて気付くの繰り返し。

でも、それは嫌じゃないのは何でだろう。

机の上に置いた腕に顔を埋める。

何だかこの頃、私は変だ。

うまく言えないけど、感情変化が薄くなってきているような気がする。

ゆっくりと息を吐き出しては吸ってを繰り返していると、いつの間にか私の意識は闇の奥へとおちていった。