「そういえば今日、雪花のファンクラブの男子たちが騒いでたよ。ラブレターを開封せずに容赦なく捨てるところもいいとかなんとか。」




「あの人たち、私が何してもそう言うからもう気にも留めてない。」





そう、交友関係の狭い私だが、なぜか私のファンクラブなるものが存在する。



私は芽瑠から聞いて、初めてその存在を知った。




芽瑠いわく、「ファンクラブの鉄則は、”抜け駆け禁止”。完全に目の保養として雪花を崇める集団で、”白雪姫ファンクラブ”ってラインのグループができているらしいよ。」とのこと。





私の世界に干渉してこないから、私は特段気に留めずに黙認している。





「まあ、女子たちの陰口は完全に僻みだね。やることが幼稚園児以下だよ。選挙権を得る年齢の人間がやることじゃないね。」





陽平にそう言われると、少し劣等感から解放される。




いくら頭ではただの僻みだと理解していても、やっぱり実際に陰口を言われるとそれなりに傷つく。




陽平はそれをわかっていて、私をいつも慰めてくれるのだ。





ずっと雨模様だった私の心に、優しい木漏れ日が現れたみたいに、少し心が軽くなった。