「あ、姉ちゃんのと色違いじゃん。オフホワイトが雪花ちゃんらしいね。黒も似合うと思うけど。」
女性の気づいて欲しいポイントにすぐ気づく、モテる男の饒舌な褒め言葉のオンパレード。
玲央がモテる理由がわかる。
「雪花と水着選びに行ったら、椿先生と出くわしてね~。」
芽瑠があのときの経緯を話し始めた頃に、翔吾はパラソルを組み立て終わっていたので、その話を聞きながら、私は日影に移動した。
とりあえず何か羽織りたいけれど、持ってきたはずの薄手のパーカーが見当たらない。
荷物を漁りながら困惑していたそのときだった。
「雪花。」
名前を呼ばれて顔を上げると、着替えを終わらせた翔吾の姿が見えた。
彼が白のシャツを空中に放り投げる。
放物線を描いて、それは私が手を伸ばした先へと落ちてきた。
「それ使っていいぞ。」
ナイス、翔吾。
「やった、ありがとう~。」
メンズのシャツは大きすぎたけれど、翔吾の香りがした。