違和感が私の心を支配して仕方ないのはどうしてだろう。




「一緒に行こうって言ってたご飯屋さん、向こうなんだ。行こっか。」




「うん。」




彼が先に敬語を外してくれているので、私も滞ることなく、敬語を外せた。




「私、駅の裏口の方ってあんまり来たことないんだよね。」




そんなふうに、話を振ってみる。




「だろ?だから待ち合わせ場所、裏口にしたんだ。」




その言葉を受けて、私の中で肥大していた違和感が、音を立てて爆ぜた気がした。



言葉の裏に、意図を感じたのだ。




「竜くん、それって……、……っ!?」




"どういうこと?"と続くはずだった言葉は、羽交い締めにされたことで言い切れない。



代わりに上がるはずだった悲鳴さえも、口元を布のようなもので覆われてしまい、発せない。



何が起こったのかわからないまま、私の意識は遠のいていった。