午前11時59分。



その日、私は、待ち合わせ場所に指定された駅の裏口付近に立っていた。



肩出しの黒のブラウスに、ターコイズブルーの総レースの膝上丈のタイトスカート。



サンダルはピンクベージュのストラップのヒールサンダルで、今日のバッグは黒のミニバッグ。



髪型は、前髪を横に流して、ワンレン風な感じにした。



今日の新規のお客様の好み通り、今日の私のベクトルは綺麗めセクシーに向いている。



待ち合わせ時間は12時だから、そろそろ来る頃だろう。



……変な人じゃなければいいんだけど。



そう思ってしまうのは、直感でどこか違和感を感じてしまっているからだ。



まあ、変な人だったらブラックリスト入りさせれば問題ない。




「ユキちゃん、で合ってる?」




人通りの少ない駅の裏口で、私の方へ歩いてくる男性が、そう聞いてきた。




「はい。」




すかさず、営業スマイルを浮かべる私。



彼は、佐々木竜(Sasaki Ryu)。



19歳の専門学生だと聞いている。