騒がしい教室内で、私の周りだけに真剣な空気が漂っていた。




「……で、雪花と翔吾は必死になってるわけね。」




一通りの話を聞いた芽瑠がそう言うので、私と翔吾は同時に頷いた。




「そっかあ、2人とも推薦狙いかあ……。」




「芽瑠は?」




芽瑠も昨日が進路面談だったはず。




「私は、志望校は雪花と翔吾と一緒だけど、一般かなあ。評定が足りない。」




「でも、勉強しなきゃいけないことには変わりない。一緒にやるぞ。」




半ば強引に、翔吾が芽瑠を仲間に引き入れる。




もうすぐ期末試験ということで、私と翔吾は評定の為にお互いの苦手科目を教え合うという協定を昨日結んだばかりだ。




そういうわけで、自習になった今のこの時間も、勉強に勤しんでいる。




「私もやろー。自習だからってバカ騒ぎしてても無駄だし。」




お喋りばかりを繰り広げていたクラスメイト達が、芽瑠の一言で一瞬で静かになった。




「さすが女王。」という翔吾の言葉は、芽瑠の睨みで一蹴される。




静かになった教室内も、少し時間が経てばまたざわざわと騒がしくなってくる。





自習時間なんてそんなものだ。