大切だからこそ3 〜どきどき接近〜

「平安時代ってめちゃくちゃ長いね」


木曜日の18時半を回ったところ
いつもの学生と談話をしているところだ。
彼女は熱心に歴史の漫画を見ている。

この漫画はみんなに歴史に興味をもってほしいと思い買ったもの
ゼミ生たちは口を揃えて「つまらない」と文句を言い見なかった。
姪っ子も同じだ。4巻くらいまで見て辞めてしまった。

なかなかに不評なので、読んでみないかと彼女に言ってみたところ
勉強になるならと毎週1冊ずつ持ち帰り読んでいってる。
不評で悲しんでる私を思って、と考えてしまうのは自惚れているのだろうか。


「そんなに平安時代ながい?」
「うん、他の時代に比べて長いよ」

そんなにか、と思いながら後ろから覗く
あ、ほんとだ


と思ったのと束の間
ねぇせんせい、とこっちも見ないで声をかけられた。

・
・
・

平安時代ながっ
ゆったりとしてて上品で、そんな時代が1番長いのか


そう思った私は先生に言ってみた

「平安時代って長いね」
「そんなに長い?」

そう言いながら私の後ろから覗き込んできた
それが近い!!

先生のパーソナルスペースが狭いことも
私のパーソナルスペースが広いことも分かってる
でも、それにしても近すぎない!?

うれしいけど!うれしいけど、これは……


「……ねぇ、せんせ」
「なぁに?」

「あの、ドキドキするんですけど」

そういうのが精一杯
顔は変じゃないか、心臓の音は聞こえてないか
顔が熱いのを感じながらそんなことを思った。

・
・
・

「ドキドキするんですけど」

そう言われてしまった。

そんなに近いか?
というのが率直な気持ち

「普通でしょ、普通」

「…先生にとっては普通かも知んないけどさ
よく考えてみてくださいよ。
好きな人にこの距離でいられるってどうですか?」

どうって……
どうだったっけ。
長い間、恋とは無縁だったから忘れてしまった。

緊張……するのか、緊張してるのか
みくるちゃんの耳が赤いことに気づき、少し、ほんの少し可愛いと思ってしまう

いつもは好きだなんだと言ってるくせに
こういうのには慣れてないっぽい
前に私が言った言葉にも恥ずかしそうにしてたな


「……緊張してるの?」

「しますよそりゃ」

「じゃあ離れようか」
「それも嫌!」
「どうしろって言うのよ」

「……わかんない」

やっとこっちを向いた彼女の顔は真っ赤で

「あほか」
不覚にもかなり可愛いと思ってしまった。