ハツカフィルム

「ごめん!もう一枚だけ。」

これだけは譲れなかった。

「もう、相変わらずなんだから。」

手早く写真を撮り終え、後ろを振り返った。

そこには当たり前だけれど、皐月が立っていた。

青空に溶けてしまいそうなくらい鮮やかな青のワンピースに、艶やかな黒髪。透き通るように白い肌。

もう見慣れているはずなのに、今日はなんだかやけに儚く、美しかった。

「一枚撮っていい?」

「え?あ、うん!」

僕の急な要求に、少し戸惑いながらも彼女は応じてくれた。

写真に収めてもふと消えてしまいそうな程に儚かった。

「ありがとう。」

撮り終えると僕はそう言ってカメラを首にかけた。