「良く来たねぇ、蒼、元気だったかい?」


家に着いて、おばあちゃんが
私に微笑み掛ける。
去年の夏ぶりに会うおばあちゃん。
ここに来るまでは憂鬱だったが
おばあちゃんの優しい笑顔と元気な姿
を見て気持ちが晴れていく。
けどおばあちゃん、
心無しか、去年より更に痩せた様な…。

「元気だよ!おばあちゃん会いたかった。」

それからはこの一年間の学校での
話や、おばあちゃんの話を聞いたり
して、あっという間に夕方になった。


「さて、そろそろ夕飯の支度でも
するかね。」

おばあちゃんが夕飯の準備の為に
立ち上がり、台所へ向かう。



「あ、そしたら私も何か手伝うよ!」

お母さんに手伝いなさいと言わん
ばかりのジト目で見られたもんで
言われる前に先手を打つ。


「あら、蒼は気が効くねぇ。
そしたら、煮物を作りたいんだけどね、
丁度みりんを切らしてたもんで、
近くにスーパーがあるからお使いを
お願いしても良いかね?」


「分かった、行って来るね!」

そう言い、財布と携帯を鞄に入れ、
外に出た。

さっきまでの照りつく様な暑さと
うるさい蝉の鳴き声は無く、

自然な風にヒグラシの心地良い
声が響いていた。