俺の友達は超能力が使えるようです!

二人から次々にそう言われ、俺は「優!うるせえ!」と言う。優は「何で俺だけ怒られるんだよ!」と言い、朱莉はお腹を抱えて笑い出す。

学校へ向かっている間も、色んな国の人とすれ違って様々な言語が飛び交っている。まるでヒエロニムス・ボスが描いた快楽の庭みたいにこの街は人の心を惹きつけるんだ。

三人で話していると、ふと朱莉が立ち止まって後ろを振り向く。

「どうした?」

俺が訊ねると、朱莉は「視線を感じたんだけど、気のせいみたい」と言った。まあ、朱莉は可愛いから道行く人が見てしまう。

「でも、最近不審者の目撃情報もあったし気を付けないとね」

優がそう言い、「俺がボディーガードするから大丈夫だろ」と俺は言う。すると、「結構です。お兄は絶対不審者に間違われそうだから」と真顔で朱莉は言ってきた。ピエン。

俺たちは視線のことなど忘れ、また歩き出す。今日も一日頑張るぞ〜!!



それから数日後の放課後、俺の姿は美術部にあった。今日は部活がある日だからな。でも、俺はいつにも増してやる気が起きない。

「妹ちゃんが体調崩して先に帰ることになったからってしょげるなよ」