「部屋まで送るよ。王に、留守中、リリアを頼むって、言われたからさ」

エリックが、私の隣を歩きだす。

「ありがとう」

私もそのまま、エリックの横を歩いた。


トーマ様、本当に心配性なんだから。

そう思いながらも、すごく嬉しかった。

わざわざ、エリックに頼みに行ってくれたなんて。

うれしいよーっ うれしいよーっ


「なぁ、リリア」

エリックが、真剣な顔で私を見る。

「ん?」

「王が帰るまで、気を付けたほうがいいぞ」

「何が?」

何のことだろう?

私は、エリックを見る。

「この前、王とリリアが馬に乗ってるのを見たって、うちの親父から聞いたぞ」

えっ!見られてたんだ。

エリックのお父さん、門番やってるもんね。

裏口から入ったけど、ばれちゃったんだ。


どうしよう…


「何とか誤魔化しておいたけど、他にも見た奴がいるかもしれないからな。なんかあってからじゃ遅いから、1人でいる時は、十分注意しろよ」

エリックは、心配そうに私を見た。

「うん、気を付けるよ。ありがとう、エリック」

部屋まで送ってもらい、エリックと別れた。



私はドアを締め、鍵をかけた。

本当に気を付けよう。

何かあって悲しむのはトーマ様だもん。




部屋の中を見渡すと、机に1枚の紙が置いてあった。

何だろう?