「リリア、大丈夫か?」

トーマ様が、心配そうに近づいてきた。


どうして、私が病気って知ってるんだろう?

マーヤさんか、チチリさんに聞いたのかな?

会いに来てくれて、すごく嬉しい。

心細かったんだ。


「トーマ様、うつるよ。近くに来ちゃダメ…」

トーマ様は、おかまいなしに、私を抱き上げる。

ぼんやりしながらも、お姫様抱っこだー、と嬉しくなった。



トーマ様は、そのままベッドに運んでくれた。

「ありがとう」

トーマ様を、見つめた。

「いいよ。リリア、可哀想に。俺が代わってやりたいよ」

トーマ様はベッドの横に座り、私の手をそっと握った。


「本当に、うつるってば…」

「そんなことは気にしなくていい。今夜は、ずっとそばにいるから」

トーマ様が、優しく微笑みかけてくれる。

「…うん」



ごめんね、トーマ様。

ありがとう。

メイドが王様に看病されるなんてね。

変な感じだよね。

トーマ様が、そばにいてくれるだけで、安心する。

頑張れる気がする。




トーマ様は、私の頭の濡れタオルを、取り替えてくれた。

「ありがと」

「はいはい。いちいち、お礼を言わなくてよし。リリアは寝て、早く元気になれ」

トーマ様が、優しく髪を撫でてくれる。

「うん」


早く治して、トーマ様に安心してもらわなくちゃね。


「おやすみ、トーマ様」

「あぁ、おやすみ」

トーマ様が、私の手の甲にキスしてくれた。

なんて幸せなんだろう。

私は、そうぼんやり考えながら目を閉じ、眠りについた。