「リリアも食べなよ」

そう言って、トーマ様がお弁当を渡してくれる。

「ありがとうございます」

私は卵サンドを1つ手に取り頬張った。

トーマ様も、いつもの王って感じではなく、1人の青年を演じてくれているみたいだ。

ひょっとして、こっちがトーマ様の本来の姿なのかな。


王だからって、しっかりしなきゃって頑張りすぎているってマーヤさん、言ってたもんな。

トーマ様も、こうやって、素の自分を出せる場所を、求めていたのかもしれない。

今日が、その場所だったら、本当にうれしいよ。

どうか、トーマ様の、いい気分転換になりますように。




「トーマ様、、スープ作ってきたので、飲んでくださいね」

私は、保温容器からスープを注ぐ。

「お、リリア、ありがとう」

トーマ様はカップを受け取り、1口飲んだ。

「これも、おいしいよ」

「ありがとうございます」

私は、心から幸せを感じ、笑顔が止まらなかった。





「リリアの旦那さんになる人は、こんな美味しい料理を、毎日食べることが出来て幸せだな」

トーマ様は、もう1口スープを飲んだ。

私は真っ赤になりながらも、

「そんなこと言わないでくださいよ。恥ずかしくなってきました。私なんか、旦那さんどころか彼氏もいませんからね」

と、笑った。

すると、トーマ様は、

「そうなのか?でも、好きな人はいるんだろう?」

なんだ?なんだ?

その、確信があるかのような質問は!

もしや、私がトーマ様のこと好きなことばれてる?