トーマ様が私の視線に気が付き、私を見た。

「どうした?リリア」

私は、あわてて視線を外した。

「いえ、なんでもありません」


トーマ様は、そうか…と、呟き、また進行方向に視線を向けた。



トーマ様は、前を見つめたまま、

「今日はのんびりできるから、うれしいよ」

と、微笑んだ。



のんびりできるってことは、今日は午後の予定が少ないのかな?

少しでも、長く二人でいれるのかな?

「この後、用事はないんですか?」


「今日は、ゆっくりしたかったから、用事を全て昨日までに終わらせてきたんだよ。なかなかハードだったな」

と、笑った。

そうなんだ。

トーマ様、今日のために、がんばってたんだ。

だから最近、とても忙しそうだったんだね。

「そうだったんですね。お疲れ様でした」

と、私は頭を下げた。

すると、

「ありがとう」

と、トーマ様が、私の頭をポンポンと撫でてくれた。

私は更に赤くなった。

トーマ様、そんなことされると、ますますドキドキしちゃうよ。

トーマ様が、今日のランチのことを、楽しみにしてくれているのがわかり、とてもうれしかった。

馬は、私たちを乗せてゆっくり歩いていく。

町を離れ、いつしか林に差し掛かっていた。

頬を通り抜けていく風が気持ちいい。

木々の間から、キラキラと太陽の光が差し込んでいる。




お城を出てから、20分ほどたった頃、

「着いたよ」

そうトーマ様がいい、馬が足を止めた。

トーマ様は、身軽に馬から降りた。

私が降りられなくて、おろおろしてると、トーマ様が、すぐに手をかしてくれ、馬から降りることができた。

「ありがとうございました」

と私が言うと、

「いいよ」

と、私を見て微笑んでくれた。





着いた場所は、綺麗な湖だった。