「まあ、だいたいこんな感じよ。昔から、決めてる人がいたなんてね。告白すらできなかったわ。情けないことに」


エリザベス姫は、悲しそうに微笑んだ。

「そうだったんですか」

何と言っていいのか、わからない。


結局、エリザベス姫は、告白できなかったんだね。

だから今朝、二人とも普通に会話してたんだね。


エリザベス姫は、こっちを向き直した。


「わたくし、トーマ様は、リリアに気があるのではないかと思ってたんだけど」




私は、首を振った。

「それはないですよ。私とトーマ様が出会ったのは、今年の4月ですから。昔から決めてる人がいるんだったら、確実に私は違うと思います」


言ってて、悲しくなってきた。

確かに、トーマ様は、私に優しくしてくれる。

その点だけだと、可能性があるように思える。

でも、出会ったのは最近。

昔じゃない。