「またここで会ったね」

トーマ様は、優しく私を見つめている。

「は はい…」




どうして、ここにいるの?

エリザベス姫に、誘われて、部屋に行ったんじゃなかったの?

私は戸惑った顔で、トーマ様を見つめた。




「今日は、急なパーティーだったのに、よく頑張ってくれた ありがとう」

トーマ様が、私に、ねぎらいの言葉をかけてくれた。

「いえ。こちらこそ、温かいお言葉、ありがとうございます」




メイドなんだから、やって当たり前なのに、こうやって、ありがとうと言ってくれる。

私は、トーマ様のこういう優しさが、好きになったのかもしれない。

辛かった心が、ほんのりあったかくなってきた。




トーマ様の、たった一言で、私は癒される。


しばらく二人で、星空を見上げていた。




何も言葉は出さないけど、2人の間に、暖かい空気が流れるのがわかった。


ふと視線を感じて、トーマ様を見上げてみた。

トーマ様は、いつの間にか、こっちを見つめていた。




トクン…

私の胸が、高鳴る。

トーマ様が愛しい。

もっとそばにいたい。

私も、トーマ様を見つめ返した。




トーマ様は、少し笑い

「リリア。今日は、サポートの方だったんだね。リリアも、舞踏会に参加したかったんじゃないのか?」

あ…、私のこと、気にしてくれてたんだ。

見てくれてたんだ。

私は、うれしくなった。



「はい。でも、サポート役は嫌々ではなく、立候補したんです」

トーマ様は、少し首をかしげ

「ん?踊りは好きではないか?」

私は首をふり

「いえ、そうじゃないんです。恥ずかしながら、私、踊ったことないので踊り方がわからなくて…。皆さんのようなきれいなドレスも持っていませんし。だからサポート役でよかったんです」


私が、そう言うと

トーマ様は、すっと、私の方に手を差し伸べた。