今日は授業はない。

だから早く行かなきゃ。

あいつを寂しくさせちゃいけない。

「こんにちは。」

「あら、湊くん。早いのね。」

「今日は授業がなかったんです。」

そんなことを幼稚園の先生と話していると。

「にーに!」

子供がぶつかって僕はよろけた。

「危ないぞ、気をつけて海。」

「ごめんちゃーい…」

海は僕の弟だ。

お母さんより邪魔な存在。

でも海にもいい顔をしなくちゃならない。

お母さんの目があるから。