ロミオは、ふたりいない。


「昨日、ありがと
妹が宿題みてもらったみたいで…」



「うん
なんか、兄ちゃん忙しそうだったから…」



「リョータ、盗み聞きとかやめろよ」



「いーじゃん!
別に何もないんだろ

盗み聞きとか、人聞き悪くね?

けど、オレがいなかったらさ
覗かれてたかもねー

宿題見てあげたことより
そっちに感謝してほしい!」



リョータ、絶対聞いてた



「それより
アイツになんかしてないよね?」



「なんかって?

なに?盗み聞き容疑の次は
犯罪者呼ばわり?」



「アイツなんか様子がおかしかったからさ…」



「おかしいって?」



「なんか、女意識してるっていうか…」



「女の子なんだから、いーじゃん」



「ジュリにメイクの仕方教えてほしいとか
言ってたし…」



「へー…木々羅が先生なら間違いないじゃん
いい女になる」



「そーゆーことじゃなくてさ…」



「もぉ小6なんだからさ
好きな子のひとりやふたりいるでしょ

女の子は恋をするとどんどんかわいくなるよ

ユートも木々羅見てたら、わかるだろ」



「んー…まぁー…」



「かわいい妹を持つと兄も大変だな…
うちの妹なんかまだチビだけど
男みたいだし…
やっと喋るようになったと思ったら
口答えばっかでムカつくし…

普通に育ってるってことで
いんじゃない?

けど、かわいい妹に彼氏とかできたら
ユート心配で仕方ないんじゃない?

まぁ、オレ、犯罪犯すほど
女に不自由してないんで!
あ、今はちょっと不自由か…」



「リョータ…
ありがとう」



「え、なに?急に…
宿題の他にも
なんかお礼言われるようなことした?」



「うん
オレとずっと一緒にいてくれて
ありがと」



「は?今更なに?
ただたまたま前の家に住んでるだけだし…
ユート、おかしんじゃね?」



「うん、おかしいかも…
けど…ありがとう、リョータ
大好き」



「やめて…ユート
なんか、ドキドキするから…」




たまたま前の家に生まれただけの

オレたち



たまたま通学路が同じで

毎朝顔を合わせて



たまたま好きな子が一緒だった



ただ

それだけの

オレたち