戦争は半年以上続いた。それは激しい戦争だった。炎の爆炎が無惨に兵士を焼いた。風の刃が四肢を切り落とした。雨のように降り注ぐ水の刃。地割れのように隆起した大地が移動を阻害した。それら全ては魔法がもたらした戦火である。
 
 その中を小さな体で駆け回る少女の姿があった。聖女ともてはやされ常に傷ついた兵士を癒そうと魔法を行使しようとする。
「何をしている、そんな一般人はほおっておけ」
その男は如何にも身分の高さそうなフルプレートの甲冑を身につけている。少女は言われままに怪我した兵士を放置して、小さく小声でごめんなさいと言い、男に従った。男は明らかに少女の上官で身分も高いのだろう。