小脇にポーションの箱を抱えてアリシアはギルド会館に向かった。ギルド会館は三階建てのビルディングでこの時代では珍しい科学技術の粋を集めた建てものだった。運営は商業組合であり、ギルド会館で働く職員の給金も商業組合から出ている。元々、商売人と冒険者の仲介のためにできた組織と言ってもいいだろう。冒険者も商人も強欲な生きものであったために報酬で揉める事は日常茶飯事であった。それを見かねた商業組合がトラブルを無くすために仲介業者を作ったのだった。依頼料に対して折り合いがなかなかつかないこともあったがその都度冒険者側と商人が話し合いをして、今ではそれなりに均衡を保っているのではないだろうか。

 依頼料が安ければ冒険者の質も落ちる。よって満足のいく結果を得られない。依頼料が高すぎると商人は依頼を出さない。需要と供給が上手くかみ合って折り合いをつけれているのが今の相場というわけでもあるが、命の危険がある冒険者からみれば、この相場はまだ安いと感じているふしもあったが、アリシアのポーションはその命の危険性をそれなりに緩和することに貢献を果たしていた。