湖の畔。
 朝日が水面に反射してアリシアの瞳に入る。青く透き通った瞳がさらに光を増して綺麗な輝きを放った。眩しさにアリシアは日光の斜線を手で遮って「眩しい」と呟いた。

 あれから二年の月日が流れた。アリシアの精神もかなりの回復を見せていた。アリシアがこの湖に住み着いたのは何よりもウェルビンとの思い出があったからだった。幼さい時に拾われてアリシアはこの湖に義理の姉エルザと共にウェルビンに連れられてよく来ていた。

 家族旅行という優しいものではなくて、修行のために連れてこられていた。

この湖の近くにある森には魔物がおり、それを討伐したり、剣の稽古をしたり魔法の稽古をウェルビンはよくここで行っていたのだった。その思い出がアリシアには深く残っている。あまり楽しい思い出とは言えないが、充実した日々を過ごす事が出来ていた。