北に標高の高い山脈は天然の要塞のようであり、街覆う城壁は高さ10メートルにも達する。大陸の西側に位置している大国。ドラグニール王国がそこにあった。

 騎士と冒険者と平民の街。

 王国中央にある王城は石造りで出来ていて、街を見渡せるように頭頂部は高くそびえ立っている。そこから見える景色は円形の街をまるで見張っているようにも見える。事実、頭頂部は見張り台として兵士が常に駐在して、24時間監視していた。

 ドラグニール王国は常に戦争の脅威にさらされてきた歴史を持ち、近くは二年前の隣国との戦争が国民に色濃く記憶に残っている。