「暑いね…」
「うん…」
「眞子、日焼けするよ」
私が日陰になるように
天神が私の隣に座った
天神は優しいのに
波の音が今日は心地よく聞こえない
伝えなきゃいけないことがある
「あのね…天神…」
「ん…?」
「私、仕事辞めて
実家に帰ろうと思ってるの…」
「仕事、辞めて…?
…なんで?」
「んー…
ちょっと、疲れたな…って…
辞めたくなったの…」
「実家に帰るの?
どれくらい?」
「んー…
決めてないけど…
たぶん、ずっとこっちにいる」
「ずっと…?」
「うん…
だから…」
「だから…?」
だから…
答えは出てるよ
「別に、眞子が仕事辞めるとか…
実家帰るとか…
自由だけど…」
「うん…」
「これから、どーするの?
…
眞子は、考えてるの?
…
オレには、関係ないの?」
「…」
答えは出てるよ
遠距離でもなくて…
一緒に来てでもなくて…
これから…
私と天神は…
「眞子、オレに言ってないことあるよね?
…
他にも隠してること、あるよね?
…
ひとりで考えてること、あるよね?」
隠してること…
考えてること…
「ないよ…」
嘘
仕事辞めることも
こっちに帰って来ることも
隠し事も
天神に嘘をついた
私たち
ただ付き合ってるだけだし
天神には関係ない
天神には迷惑かけない



