「ねぇ、夏生。
彼氏出来た??」

「ウチは、共学って言ってもほとんどが女の子だから
恋愛なんてなかったもん。
『夏生が羨ましい』って言ってたんだよ。」

「外部に受験する勇気はなかったけど……
ホントの意味での共学に進んだ夏生が羨ましかったよぅ~」

中等部を卒業して藤堂が選んだ道は………

外部受験。

一族経営のウチか。

せめて、姉妹校に進むと思っていただけに………

衝撃だった。

3年に上がって直ぐは

このまま高等部に進むと聞いていたから余計に驚いた。

生い立ちこそヘビーだが……

誰一人、邪険にする事もなく

大切に育てられたお嬢様なんだから………。




同窓会の会場は

普通の高校生ならカラオケが定番だろう。

もしくは学校。

でもさすがお嬢様お坊ちゃん学校のウチは

ホテルの一室を借りてやるのが定番だ。

出席者は、元担任の俺と同じく元副担任の小寺君。

俺より一つ下の美術教師だ。

後は…………3年2組の教え子と。

…………何故だか、理事長が座っている。

同窓会に理事長が出席したなんて初めてだ!?

こんな同窓会…………どうしたらいいんだ????

11時開始だったから

少し早めに10時半にホテルに行くと

ロビーに居るはずのない理事長がソファーに座っていた。


慌てて駆け寄り

「おはようございます!!」と頭を下げると。

「そんなに恐縮しなくて大丈夫です。
今日は、夏生に逢いたくて
プライベートでお邪魔させてもらったので………。
……………ウチを卒業して3年。
夏生は一度も顔を出さず………
知らない間に1年の交換留学までして………。
実は…………
この先の進路さえ………教えてもらってないんです。
先生は………私と夏生の関係をご存知なので……
恥を承知でお邪魔しました。
今日を逃すと、また一人で行動をとって………
次は、いつ会えるか分からないので…………。
なので。
迷惑を承知で参加させてもらうことにしました。
………私のことは気にしないで同窓会を楽しんで下さい。」と……。

………………………………………。

いくらそう言われても………

『はい、そうですか。』と言うわけにはいかないよなぁ。

「う~ん……………。」

どうしたものかと悩んでいたら。