*・.・* 時間旅行 *・.・*

「後は、俺と尚人だな。
藤堂さんとは、うちの学校で会ったんだけど……覚えてる?」

「はい。
あの時は、お世話になりました。
先生との出逢いが、今日に繋がり…
本当に感謝しています。
皆さん、今日は私の事で集まって頂き有り難うございます。
私も自己紹介させてもらいますね。
青葉学園三年の藤堂夏生です。
夏生ですが、産まれたのは4月です。
母は、夏に生まれる予定でつけてくれたみたいだけど……
早産してしまい、春生まれです。
母は、私を産んでそのまま息を引き取ったので
私は、母を知りません。
この名前が、母からの最初で最後の贈り物です。
父親は……
青葉学園の理事長だと噂も有りますが、それは違います。
理事長は……
母の母親。
私の祖母の想い人だと聞いています。
結婚の約束をしていましたが
家族に反対されて引き離されたと。
お互い別の人と結婚したと
風の便りで聞いていたようですが。
実は、祖母は理事長の子供を身ごもって一人で育てていました。
母の葬儀の時
気弱になった祖母が……
一目父親に会わせたいと連絡して
理事長は、冷たくなった娘と
初めて対面しました。
その後は、私は祖母の元で育ち
時々訪れる理事長や理事長の家族と『親戚』として親しくさせてもらっていました。
5歳の時、祖母が亡くなり
理事長の家族として引き取られ
それから、何不自由なく育ちました。」