「はい、そうです。」

答える俺に被せるように

「ちょっと圭兄、ナオ坊はないでしょう!
俺だって、イッパシの教師なんだよ!」と尚人が文句を言ってきた。

「イッパシの教師って……
そういうところが、ガキだって言うんだよ!」

みんなにグリグリされ、頬を膨らます尚人は

俺が知っているどの顔とも違って見える。

………みんなそれぞれ違う面を
幾つも持ってるんだよな………。

ふと、これから来る藤堂を思い

彼女にもきっと色んな面があるはずだと……。

全ては無理だけど

辛い面を引き出して

本当の笑顔を見せて欲しい!と
心に強く思う。

「コラコラ、此方の坊やも一人で
張り切らない事。
先生ってのは、頑張り過ぎるねぇ。
相談に乗ろうとしてる人間が
そんな険しい顔で肩に力入れてたら
話したい事も話せないよ。
本当だと、アルコール片手くらいがちょうど良いんだけど……
流石に相談者が、女子高生だと
そうもいかないしね~
兎に角「聞き出す」事は止めなさい。
途中で話したくなくなったら
後はトランプでもしようね!」と。