このメンバーで集まるのは……

場所に悩んだ。

教師という仕事は。

担任、担当教科はもちろん

受け持っていないクラスや学年の生徒も自分の事を知っている。

特に中等部の俺は

義務教育だから、保護者も俺を知っている人が多い。

お兄さんは、他校で教師歴も長いから

三人の教師が寄ると、あっちこっちに知り合いの目が光ってる。

教師三人が集まることは、別に問題はないけど。

…………彼女が一緒というのが問題だ。

まだ中学生の女の子一人に

おじさん三人という見た目だけでもアウトだと感じる。

ましてや彼女は………。

俺達の上司で

青葉学園の理事長の隠し子だと噂が出ているのだ………。

若い子がよく行くところや

学園関係者が立ち寄りそうなところは、避けて探した。

結局選んだのは………

パン屋?!

集合場所は、駅から少し入った路地裏にある商店街。

表の賑わいとは全く別世界の

昭和を思い浮かべそうな街並みにあるパン屋さんだ。

澤先生の指示で尚人から連絡を受けて向かったけど………。

本当にここで大丈夫か??

恐る恐るドアを開けて中に入ると

「いらっしゃいませ。」と可愛い女の子が出迎えてくれた。

「あっ………えっと…………。」

中では、食欲をそそる小麦の良い匂いに混じり

甘く優しい香りが鼻を掠める。

一瞬で人を幸せにする匂いに包まれたが………

目的はパンではなく、待ち合わせ。

奥まで目を向けるが…………肝心の人達は、誰もいない。

「何かお探しですか?」

何かって言うより………誰かなんだけどね。

「えっ………と……………。
ここで………待ち合わせって……言うのも……おかしいんですけど………。」

何と伝えたらいいか悩んでいたら。

「あっ、洋ちゃんの!!
ちょっと待って下さいね。」と聞いたことのない名前を残して

裏に入って行った。

…………………………どうしよう~

取り敢えず『間違えました。』と謝って

パンを買って出ようと、パンを選んでいたら。