「おはようございます。
今日は放課後、体育祭の練習がありますね。
暑くなってきたので、水分補給をしっかり行い
疲れたと思ったら、遠慮なく休んむようにして
無理の無いよう頑張って下さいね。」

6月を前に、気温はどんどん上がってきている。

来月頭の体育祭に向けて、踊りの練習をしている生徒達は

盛り上がると体力の限界まで頑張ってしまいがちだ。

その為の注意だったのだが………。

『たっ君おじさんみたい~』

『疲れたらって……
中学生が「疲れた」なんて言わないよぅ』と

すっかりおじさん扱いだ。

そのくせ、担任教師を捕まえて『たっ君』って…………。

「こらっ!?
河野先生だ。
兎に角、気をつけて練習して下さい。
それと………」

本当に言いたいのはここからだ。

緊張のせいか、声が裏返ってしまった。

「藤堂さんは放課後
進路相談室までお願いします。
あぁ~
藤堂さんは、練習をお休みするので………
クラス委員。
よろしくお願いします。」

クラス委員に藤堂さんの不参加を伝えて

朝のホームルームを終えた。

それまで、やる気のない表情で窓の外を見ていた彼女は

驚いた顔を向けて、立ち去る俺を見ていた。