藤堂夏生。

彼女は、中学3年生にしては凛とした美しさのある

少し大人びた生徒だった。

すらりと長い手足。

真っ黒な髪は艶々で

黒目がちな目元と相まって、美少女と呼ばれるのが納得する容姿だった。

見た目と違い、空手をやっているのも………

ウチの学校だと注目を浴びていた。

青葉学園は

………今でこそ違うが。

元々は女子校だった為、7割が女の子だ。

そのせいか、決してボーイッシュな訳でもないのに

下級生の中には、女の子のファンもいたりした。



彼女は色々な意味で…………学園でも、ちょっとした『有名人』だ。






担任を持つにあたって、2年の担任からの引き継ぎが行われ

「先ず、西野さん。
彼女は……………
次に田辺君。
彼は……………
そうして、最後の『藤堂夏生さん。』
彼女の事は…………
担任でない先生でも、噂は耳にしていると思いますが………
理事長の『お孫さん』です。
お父様は、姉妹園の理事長をされ
お母様は学園長です。
因みに、ご長男がウチの青葉先生で
ご長女は……高等部2年の青葉涼香さんです。」

「えぇ…………まぁ。
噂程度では………聞いてますが………。
………………噂は………真実なのですか??」