進路指導室に入ると

先に席に着いていた藤堂が立ち上がり。

「先生、お時間を作って頂き…………
ありがとうございます。
改めて、自己紹介しますね。
藤堂夏生です。
今日から3年2組の生徒としてお世話になります。
……………多分、ご存知だと思いますが…………。
問題児です。」と言うと。

なんとも言えない………笑顔を見せた。

俺はその表情に…。

単純に………『普通の笑顔が見たい。』と思った。

「だったら、俺も自己紹介します。
河野拓実………25才です。
今日初めてクラス担任になりました。
正直、自信はありません。
けど頑張って…………問題の答えを一緒に見つけたいと思います。」

「……………プッ。
先生……………アハハ…………。
答えを一緒にって…………。
問題じゃなくて………問題児なのに……………」

見たいと思った笑顔は………

涙と一緒に溢れた。

「まだ出逢って数時間だけど
問題児だとは思わないよ。
…………問題は抱えていそうだけど………。
あっ!!
ここって、隠しカメラが仕掛けてあるんだった!!
ごめん。
藤堂………泣き止んで!!」

慌てる俺に、今度こそ笑顔を見せてくれた。

「こんな先生……初めてです。
先生が担任で良かった。
……………一緒に………答えを見つけてもらえますか?」

純真な眼差しに…………

力強く頷いた。