檸檬が欲しい

【一方、数分前の蛍】


「はぁ疲れたー」

祖母の入院する病院を後にして駅に向かう。

祖母は自分の病室ではなく食堂にいた。

どうやらひとり部屋は寂しかったらしく、入院仲間とお喋りを楽しんでいたようだ。

しかしおばあさんが4人集まれば賑やかいといったらありはしない。


要するにおばさま方の相手をして疲れたということだ。

「何だ?そのシケた面は」


「鳴瀬くん??」

「道路に突っ立ってんじゃねぇよ。邪魔だ」

指摘してくれたのは有難いけど、鳴瀬くんの絡み方は側から見たら、ただのヤンキーが弱虫に言い掛かりしている絵図にしか見えないだろうな。



「もしかして今から病院?でも今日はお姉さんとは一緒じゃないのか?」

「誰がお姉さんって呼んで良いって言った?」

鬼の形相で襟を締めつけられる。

「ごめんなさい!!」


周りの人も心配そうに見ているが実のところそこまで痛くない。

「それよりオマエってアイツとは途中まで一緒だったのか?」


「アイツって?」





「………藤宮」


「藤宮さん?一緒じゃないけど。どうかしたの?」



と言うより、鳴瀬くんが誰かのことを気にしていることが意外だ。


「いや、さっき住宅街の方のパーキングにソイツがいたから」

パーキングってことは藤宮さんは車持ちの人と待ち合わせをしている可能性が高いな。

「もしかして例の先生と待ち合わせとか?」















「 ・・・あの鈍感女!」

僕のさり気ない独り言に何か気づいたのか怒声を放ち、鳴瀬くんは来た方向に猛ダッシュ


「え?!何処に行くの?」

つられて一緒に向かうが走るのが速すぎる。

「さっき言ったコインパーキングだ!」


嘘だろ?
あっちのコインパーキングってここから距離あるよね?

「でも鳴瀬くん、病院に用事があったのでは?」




「それどころじゃねぇ!!」

鳴瀬くんのスピードは更に加速する。

だめだ
速すぎて追いつかない。

でも僕も一緒に行かないとまずい気がする。

鳴瀬くんのあちこちに散らばる傷や絆創膏は喧嘩とかによるものだと思う。


だから、多分だけど此処で鳴瀬くんを野放しにしたら


















      先生がヤバイ!!