檸檬が欲しい

「藤宮さんお待たせ」

この男らしい鮮やかな赤色の車がご登場のようだ。

如何やら昔のことを思い出していたら気づかない間に時間は経過していたらしい。


「お忙しいところすみません」

「謝らないで、君といる時間は楽しいからね。つまりこれは僕のエゴだ」

さあ、乗って。

後部座席のドアが開けられる。

一度噂を流されたことや女子高生と成人男性という世間体もあり、肩身狭い私達には寝る場所と言うと車の後部座席ぐらいしかないのだ。

「今日は言いたいことがあって来たんです」

両腕を組みそうになるのを必死に抑える。

「そうか。だったら車に入って話さない?」

「いいんです。ここで」

この男の持ち前である疑問に感じたら即行動が出ているのか、車から降りてきて挙動不審な私の腕を掴もうとする。

掴まえられたら、ダメだ。

腕を掴まりそうになったところを一歩下がり避ける。





「こうやって会うのは終わりにしましょう?先生」