檸檬が欲しい

【蛍side】



昨日、藤宮さん大丈夫だったかな。
僕が説教もどきをした後、体調悪い素振りしてた。
何より翠さんの昨日の言葉が喉に刺さった小骨のようにひっかかっている。

うーんと前の席の子が心配するぐらい頭を捻ると、教室のドアが開く。

「あ!藤宮さん!おはよう」

「    おはよう、委員長」

藤宮さんは素っ気無く返してくれた。

教室は噂をすれば何とやらとでも言うように騒つく。

『藤宮さんが誰かに挨拶してるの初めて見たんだけど』
『しかも委員長だってー』

この人達は内緒話のつもりなのだろうか。



丸聞こえだ。


「えっと、昨日は大丈夫だったかな?」


「大したことはないよ」

『てか、委員長と何時の間に仲良くなってんの?』

「そう言えば昨日の課題って誰に出せば良いの?」

『どうせ心配してくれてグラッと来たんでしょ。あの、何だっけ?吊り橋効果?』

『吊り橋効果は違うんじゃね?』






『結局アノ子って言い寄ってきた人なら誰でも良いってこと?』




「  ねぇ委員長?」



_____ハッ!!


藤宮さんの声であっちの声に意識し過ぎていたことに気付く。



「あぁ!えっとね。それは担任の…


続きはいえなかった。

其れは彼女の表情に気づいてしまったから。


どこか物憂げな眼差しで唇を噛み締めている。

彼女も1人の女の子だ


こんな心無い言葉に耐えられる訳が無いだろ。