檸檬が欲しい

『常和くん、ごめんなさい』



藤宮さんが扉を閉めて数秒後、隣の席や前の席の子もクラスの人が一斉に僕の処に集まって手を合わせて謝罪して来る。


何だ、これ

  『ごめんな』  『すまん常和』




「あの、推薦してた藤宮緋緒には怖くて誰も逆えないの。」

戸惑っている自分に前の席の子が声を潜めて教えてくれた。




フジミヤヒオ、一体何者なんだ。




「逆らえないって…」




「親が教育系の偉い人で担任もあんなカンジで頭が上がらなくてね」


『前にアイツが不祥事起こした時も揉み消されたしな』

『あれな、教師と付き合ってたやつだろ』



『オレ前に塾帰りにアイツが繁華街の方向を一人で歩いたの見た!』

『例の繋がっている人達と会ってたんじゃない?怖〜い』

『一時期藤宮さんをストーカーしてたヤツもそいつ達に絞められたんだろうな。』



皆んな本人が居ない事を良いことに言いたい放題である。


しかし聞こえて来る話全てがヤバイという事はわかる。



僕ってもしかしてとんでもない子に目つけられたカンジ?