檸檬が欲しい



「まずはクラスの委員長決めるか。2年生になって、気を引き締める為にも誰かやりたい人?」


担任の快晴のようなハキハキとした口調とは正反対にクラスは曇天とした雰囲気



『クラスの委員長って来月のキャンプと、体育祭纏めるのもやらなきゃなんでしょ?』


『めんどくさ〜い、やりたくないな』




皆んな嫌そうだな。

自分は転校してきた身だから関係ないか、と他人事のようにクラスの様子を見守る。


先生も生徒のやる気の無さに困っていると感じたときだった。



一人の子が手を挙げた。

「推薦でも良いですか?」

手を挙げたのは斜め後ろの席のつまり僕を打った女の子だった。




立つ瞬間、僕を見て薄笑いした気が。

気のせいかな。




「私は常和くんを委員長に推薦します。」

「えぇ?」

さっきの形相の顔つきとは打って変わって鉄壁スマイル。

けど圧が凄い。



「 えっと藤宮さん…常和くんは今日転校して来て、まだ慣れてないことも多いと思う。 何故彼を推薦したのかな?」

担任がおずおずと質問する。

この担任は何故生徒に対してこんなに怯えているのだろうか。


クラスの空気もだ。

彼女が発言した途端空気が凍りつくように張り詰めているのが伝わる。


「常和くんは確かに今日この学校に来たけど、だからこそ新しい雰囲気を作るためにも外から来た彼がそのクラスの雰囲気を作る存在になると思うからです。」


そんなこと言われても…

「常和くんが学級委員長で賛成の人は挙手」

見渡すと周りの手がバラバラに挙がる。



まさかの満場一致で可決。





嘘でしょ???