はじめて工藤と会ったのは2年前の夏。


その年も暑かったなぁ。


あたしのバイト先の後輩の友達だった工藤は、はじめ近寄り難い存在だった。
後輩と一緒にバンドをしていて、ライブを見に行った時にはじめてあったのだ。

「喜咲ちゃん!」


4つも年下のくせに、あたしの事をちゃん付けで呼んでくるのが中川。
バイト先の後輩。


「やほ〜。げんきだねぇ」



4つも年下だと、年齢差感じて自分が年寄りに感じるほど元気。
そんな中川の隣に立っていたのは、前髪が重くて、The バンドマン みたいな身なりをした男。
サラサラマッシュで、目元はあまり見えなかったけど、鼻はシュッとしてるし唇も薄いし、美形であることは分かった。




「来てくれてありがとうね!こいつね、うちのベースの朔(サク)ちゃん!こちら、喜咲ちゃん!名前似てるから仲良くしようね」

「どうも〜」

「どうも〜」

「朔ちゃんてば、人見知りだからこんな感じだけど、本当はもっとおもろい奴だから」

「あたしも人見知りだから、中川より、朔くんの方が近いよ〜ギャンギャンしてんだよね、中川は」

「なに、ギャンギャンって。失礼なんですけどこの人」



日頃失礼なのはどっちなんだよ。


「じゃ、ライブ楽しんでね!」


そうゆうと、2人は楽屋の方へ帰っていった。