シノ、心配かけてるよね…。
きっと、しーも心配してる。
黙って俯く私に横山さんは
「伊織様、私と行きませんか?」
「えっ?」
「実は、陽彩様は皆さんと共に紅蓮の所にいらっしゃいます。」
"紅蓮"
そのワードにドクンッと心臓が大きく鳴った。
「稽古をつけるらしいです。」
…そういうことか。
「うーん……、私が行ってもな…。」
「生意気ですが、私の喧嘩している所見れますよ。」
その一言に顔を上げてしまう。
そうだ、横山さん昔、紅蓮にいたって…。
「……行きます。横山さんのヤンチャ姿見てみたい。」
柔らかく笑う伊織様
陽彩様が言ってた通りだ。
『きぃが悩んでたら、横山さんの喧嘩姿見れるぞって言ってみてください。…そしたらきっと来ますよ。」
「……さすが、陽彩様」
着替えると言ってパタパタと走る後ろ姿を見て、静かに入り口を閉めた。


