「もう、分かんない………。」
こんな幸せな悩みを持つなんて、初めてだ。
コンコン
「伊織様」
入り口から横山さんの声が聞こえて、ハッとする。
慌ててベッドから降り、ノックを続ける横山さんに返事をし、入り口を開ける。
「はい!」
「あ、すみません。急かした訳ではないのです。おはようございます。伊織様」
優雅な笑顔を浮かべてお辞儀をする横山さん
つられて私も丁寧に返す。
「おはようございます。…何かありましたか。」
そんなことを訪ねてしまったが、それはきっと横山さんのセリフだろうな。
突然私が部屋にこもり始めたから。
申し訳なく感じ、目をキョロキョロさせていると、
「伊織様、陽彩様が遊びにおいでとおっしゃっていました。」


