最後の言葉に涙が溢れた。
涙を湊の指がそっと拭ってくれる。
「陽彩さんたちみたいに頼りにはならないと思う。…ただ、伊織が壊れそうになるなら、俺にぶつけて欲しい。俺は何だって受け止める。捌け口だと思って良い。」
「俺はどんな伊織も好きだ。好きだからこそ、伊織を守れなかったことは悔やんでも悔やみきれない。」
グッと私の手を包む左手に力が入っている。
「俺は、これからお前に見合う男になる。避けてきた安達家の使命にも向き合わないといけない。」
「そこに向き合う根底にあるのは、伊織。ただお前だけ。伊織を守り、甘やかしてやりたい。」
「……その時がきたらプロポーズするな。この先もずっと、俺が伊織しか見えてないってこと忘れんなよ。」


