「はい。」



「横山です。本日はお客様とご一緒なのですが、よろしいでしょうか?」




お客様……?
そんなこと初めてだ。


そもそもここには、担当医の瑞稀さんと横山さんしか来たことない。




「…大丈夫、です。」


「……失礼致します。」




カラカラと開いたドアの先

お互いに目を見開いた。




「えっ…、菫さん?」


「っ伊織ちゃん!!」



駆け寄る菫さんに抱きしめられた。

久しぶりに感じる人の体温
それになぜかホッとしている。




「心配したんだからっ!横山に聞いた時は、もう、すぐにでも会いに行きたかったのに!……っやっと会えた!」


綺麗な顔を歪めて、泣いている菫さん



ギュッと震えてる腕で抱きしめられている
自分を心配して泣いてくれている




「っ菫さん…。」

それが不謹慎かもしれないけど、嬉しくて。

私は子供のようにすがり泣いた。