「眼鏡邪魔そうだな。」


話しかけられて顔を向ければ、湊の手が伸びて来た。


考える暇もないまま眼鏡が湊の手に渡っていた。




「あっ、ちょっと…!」


「食べる時ズレてただろ。俺しか見てないから。」



そう言って眼鏡を湊のスーツの胸ポケットに入れられた。


「俺しか見てないって……。」




私を守る壁がなくなった感覚で、より恥ずかしくなってきた。


素顔でこんな真っ正面から湊と向き合ったことなんて無い。




今度は手まで震えるぐらい緊張してきて、胸の高鳴りが原因で死んでしまいそうだった。










「伊織、綺麗だな。」