歩稀は未だに彼女の事が苦手らしく態度が酷い。

「あのさ、良い加減普通科の校舎まで来るのやめてくれない?」
「ツンデレ最高よ!あ、今度は携帯に向かって言って」
「〜っ!!」
「あ、歩稀!ごめん石川!」

歩稀の突き放す言い方にも物怖じしない彼女。
挙げ句には取り出した携帯を歩稀に向けるも、限界に達した歩稀が席を立ち去って行った。
僕も席を立ち慌てて後を追い掛ける。
食器返却口にトレーごと入れ食堂を出てた所で歩稀に追い付いた。

「歩稀」
「説教なら聞かないから」
「…分かった。あ、新しく出来たドリンク屋さん行かない?」
「奢りなら行っても良いけど」
「素直じゃないなぁ」

うるさいよと小突かれながらも、僕はニヤニヤしながら歩稀の肩を抱いて歩く。
歩稀は猫のようにツンデレで素直じゃない。
言い方だってキツいし暴力的だけど、それ以上に歩稀の良い所は沢山ある。
ん?例えば?
んーー…、どこだろう?

「無いなら言わないで」
「あ、聞こえてた?」

笑って誤魔化すも、歩稀にギロリと睨まれ両手を上げて降参する。

「にしても、平和だよね」
「…何かが起こる前兆だっりして」

歩稀の言葉にないないと笑って答えた。
─平和な日常が崩れる事を、まだ知らずに